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2023/03/17 12:06:00
再生医療って何?
再生医療って、よく聞く言葉ですが、実際のところどんな医療なのでしょうか?そして、そのメリットとデメリットとは? さて、再生医療とは、端的に言えば「人間の組織や臓器を、幹細胞や人工材料などを使って修復・再生する医療」のことですが、この分野の第一線で活躍されている京都大学iPS細胞研究所所長の山中伸弥氏のHPによれば、「ヒトの皮膚などの体細胞に初期化因子を導入して作製する人工多能性幹細胞 (iPS細胞)は、体のほぼすべての細胞に分化する能幹細胞であり、(中略)iPS細胞技術から出発した細胞・医薬品が次々と臨床の場に届けられつつある」とのことです。ところが、一方では「現状の再生医療において患者が受け得る実害として、適切ではない治療に高額な治療費を払う経済的なリスクや、標準治療を受ける機会を逸してしまうこと、更には、治療に関する正しい理解がないままに、インフォームド・コンセントしてしまう」問題があるようです。そこで、今年2月国立がん研究センターは「自由診療で行われる再生医療の審査に関する課題を調査し、今後の制度改正を求める」と題した記者会見を開催し、京都大学iPS細胞研究所らと行った調査結果を発表しました。そこで明らかになったのは、例えば申請のあった391件の治療計画を対象に、治療対象とする疾患とその治療を担当する医師の専門性の適合を調べたところ、117件(全体の30.0%)に治療対象である疾患と、治療する医師の専門性との間にミスマッチがあったことが分かったそうです。では、患者が正しい再生医療を受けられるためには何をなすべきなのでしょうか。2014年に定められた「再生医療法」では、再生医療の安全性・有効性が未確立であっても、特定の条件を満たすものに限り、患者の治療目的で「未確立医療」として実施することが認められているのだそうです。ところが、その条件を満たしていないどころか、安全性・有効性が未確立な医療を「治療」と称して実施している実態があったというのです。今後、このような間違った治療を排除するためにも、公正で独立した審査委員会がいかに重要であるかが再確認されたとのことです。「再生医療」と聞けば、魔法のような治療をイメージしがちですが、患者を人体実験の「モルモット」にするようなことがないようにしてもらいたいですね。
国立がん研究センターのプレスリリース
https://www.ncc.go.jp/jp/information/pr_release/2023/0228/index.html

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